SING LIKE TALKING
2015-02-11


【収録曲】
全曲作詞作曲 藤田千章/佐藤竹善
全曲編曲       SING LIKE TALKING
プロデュース  Rod Antoon

1.Steps Of Love ★★★★★

2.Do what U want 2 do 4 luv ​★★★☆☆
3.La La La ★★★★★
4.INTERLUDE: I long for you インストなので省略 
5.迷いの要塞 ~Heart to Heart~ ​★★★★☆
6.嵐の最中 ~Reintroduction~ ★★★★★
7.INTERLUDE:P.P インストなので省略
8.Gigolette ​★★★☆☆
9.愛と言えるまで ​★★★☆☆
10.此の手は離せない ​★★★★☆
11.INTERLUDE:You are love インストなので省略 
12.Your Smile ★★★★★
13.願いを込めて ★★★☆☆
14.Missin' you ​★★★☆☆


1991年4月25日発売
2015年2月11日再発(Blu-Spec CD2リマスター再発)
ファンハウス
Ariola Japan(2015年盤)
最高位33位 売上不明


SING LIKE TALKINGの4thアルバム。先行シングル「Steps Of Love」を収録。「La La La」が今作と同時発売された。今作で初のアルバムチャート入りを果たした。
プロデュースは前作と同じくRod Antoonが担当した。レコーディングはロサンゼルスで行われた。


前作まではシティポップやファンク、ソウルがメインになっていたが、今作は正統派なポップス路線に舵を切った。キャッチーな曲が増えている。そのためか、今作で初のチャートインを果たしている。他の理由として、佐藤竹善によるラジオ番組や音楽雑誌の連載が考えられる。


ジャケ写も急激に変化し、アイドル雑誌の表紙のようなものになってしまった。それだけ見るととてもSLTのCDとは思えない。発売当時他のアーティストのCDだと間違えて買いそびれたファンがいたとかいないとか。後にメンバーも「おかまの3人が写ってるやつ」等とネタにしていた。メンバーの唇がやけに赤く見えるが、これは化粧をフラッシュで飛ばすつもりだったが上手くいかなかったためだという。


タイトルは「日常に溢れた様々な優しさは、結局1個の"愛"にたどり着く」という佐藤竹善の考えによるもの。他にも「自分たちはここから再スタート」という意思表明の意味もあるようだ。



「Steps Of Love」は先行シングル曲。SLTの今までの楽曲とは明らかに変貌を遂げたキャッチーな曲。曲全体を通して流れているキーボードのリフが印象的。曲の構成もいつになく売れ線ポップス。SLTのバンド史を語る上でも欠かせない名曲。管理人がSLTの音楽にハマるきっかけになった曲なので、思い入れが特に深い。



「Do what U want 2 do 4 luv」は前作の雰囲気を継いだようなブラックミュージック色の濃いファンク系の曲。佐藤竹善の勢い溢れるボーカルを味わえる。終始鳴り響くホーンセクションがこの曲の勢いを演出している。



「La La La」は今作と同時発売されたシングル曲。『世界ふしぎ発見』のエンディングテーマに起用された。恐らくこれでSLTの名を知ったという方もいらっしゃるかもしれない。アフリカンビートを取り入れた力強いサウンドが印象的。ライブでもほぼ必ず歌われる。レコーディング中に湾岸戦争が勃発したためか反戦のメッセージを訴えるような曲になっている。SLTにとっては特別な存在の曲だと思われる。



「INTERLUDE: I long for you」はインスト曲。佐藤竹善のスキャットが主になっている。アルバムの流れを調整する箸休め的な存在の曲。



「迷いの要塞 ~Heart to Heart~」はストレートなラブソング。タイトルの「要塞」は「とりで」と読む。愛する人への想いを伝えようとする人が描かれた歌詞。キーボードとベースが前面に出たサウンドが心地良い。



「嵐の最中~Reintroduction~」はキーボードと西村智彦によるギターが主体になったサウンドが特徴的なバラード。「最中」は「なか」と読む。遠距離恋愛を描いた歌詞が印象的。情感のこもった、全身から出したような佐藤竹善の力強いボーカルがこの曲の世界観を彩る。



「INTERLUDE:PP」はインスト曲。賑やかな声が多く使われている。これもまたアルバムの流れを調整する存在の曲なので、あまり集中して聴く必要は無い。



「Gigolette」はブラックミュージック色が色濃いファンク系の曲。流れるようなノリの良いメロディー。サウンドは前作の作風を思わせる。タイトルはフランス語で「キャバクラ嬢」や「ホステス」を意味するようだ。大人の雰囲気漂う歌詞が展開されている。



「愛と言えるまで」はSLTの王道と言えるAOR。歌詞は雨の日の夜を舞台にしたストレートなラブソング。「彼方だけ もっと 知りたくなる人 だから」という歌詞が印象的。サビの佐藤竹善のファルセットが美しい。



「此の手は離せない」はハードなサウンドが展開されたラブソング。ニューミュージックっぽい曲。特にオフコースっぽい。
「愛する 心に 翳りなど 片らも 無い」というフレーズが印象的。今作はストレートな歌詞のラブソングが多い。



「INTERLUDE:You are love」は今作3曲目のインスト曲。1分程度ととても短い。ドゥーワップ風のもの。あまり集中して聴く必要は無いと思う。



「Your Smile」はアフリカンビートを取り入れた曲。サビで急に壮大に、ハードなサウンドになるが、そこが聴きどころ。どこまでも伸びていくような佐藤竹善のボーカルはサウンドに全く負けていない。少年時代と今を比べた歌詞が懐かしい雰囲気に溢れている。



「願いを込めて」はゆったりと聴かせてくる静かなバラード。音の数が少ないが、それが曲の世界を上手く表現している。サビでの佐藤竹善のファルセットが美しい。時間の経過を感じさせる描写が何とも悲しい。



「Missin'You」はアルバムのラストを飾るR&Bテイストのバラード。乾いたイメージのサウンドが展開されている。サビの英語詞が聴いていてとても心地良い。この曲も時間の経過を思わせる歌詞がある。



中古屋では比較的よく見かける。SLTがポップス路線に転換していく過程のアルバム。次作からさらにポップで、マニアックな曲が増えていく。楽曲的には前作までのブラックミュージック色の濃い曲とポップな曲の過渡期と言える時期なので、両方が入り混じっており、統一感は無い。アルバム単位で聴くとあまり印象に残らない曲が多い。一曲一曲も長尺な曲が多いため、聴いていても後半でダレてくる。
しかし、SLTを語る上では欠かせないアルバム。SLTの音楽に興味がある方は是非とも聴いていただきたい。


★★★★☆