浜田省吾
1996-11-11

【収録曲】
全曲作詞作曲 浜田省吾
1.作詞作曲 Phil Spector、Ellie Greenwich、Jeff Barry
1.4.6.編曲 町支寛二
2.7.編曲 水谷公生
3.5.編曲 梁邦彦
8.編曲 古村敏比古
9.10.11.編曲 星勝
プロデュース 浜田省吾 星勝 鈴木幹治

1.BE MY BABY ★★★★☆
2.さよならゲーム ★★★★☆
3.二人の絆 ★★★★★
4.彼女はブルー ★★★★★
5.紫陽花のうた ★★★★★
6.君去りし夏 ★★★☆☆
7.恋は魔法さ ★★★★☆
8.君がいるところが My sweet home ★★★★☆
9.あれから二人 ★★★★★
10.Because I love you ★★★★☆
11.青空のゆくえ ★★★★★

1996年11月11日発売
Sony Music Records
最高位1位 売上56.6万枚

浜田省吾の15thアルバム。先行シングル「恋は魔法さ」「さよならゲーム」を収録。全作からは3年振りのオリジナルアルバムのリリースとなった。初回盤は三方背BOX仕様でミニブックレット付属。

浜田省吾の音楽的なルーツの一つである、R&Bをモチーフにした曲が多いアルバム。ここまでのアルバム3作くらいは内省的な内容がかなり強く、重苦しいイメージの楽曲が多かった。当時の浜田が精神的にダウンしていたからだという。しかし、今作はポップでポジティブな曲が多いアルバムになった。
それは「青空や太陽が自分の人生に必要ならば、空が晴れるのを待っているんじゃなくて自分で太陽の下に出て行かなければいけない、青空のドアを自分で探して開けなければいけない」という浜田の考えにあった。

「とにかくラブソングばかりのアルバムを作ろう」と思ったという。テーマは「新しい恋に落ちた時」。「新しい恋」を「青空の扉」に例えている。

今作は浜田省吾自身も絶賛しており、今作制作後、次のアルバム作りに中々取り組めなかったというほど。インタビューでも「自分のキャリアの中で最高傑作」「音楽の神様が与えてくれた、御褒美のようなアルバム」等と発言している。


「BE MY BABY」は今作のオープニング曲。ザ・ロネッツの名曲のカバー。原曲のプロデュースはフィル・スペクターが行った。彼の代名詞「ウォール・オブ・サウンド」を象徴する曲。原曲は聴いたことが無いので違いは分からないが、とても爽やかなポップス。分厚いコーラスワークが展開されている。今作の雰囲気はこの曲が物語っている。


「さよならゲーム」は先行シングル曲。『COUNT DOWN TV』のエンディングテーマに起用され、初登場4位を記録した。非常に躍動感溢れる曲。タイトルは野球のサヨナラのように、「試合を勝って終わる」という意味、「ゲームのような日常からさよならする」という意味がある。力強いバンドサウンドとサックスの絡みが心地良い。今作の作風を象徴する曲。


「二人の絆」は軽快な曲調が心地良いポップな曲。イントロからギターのカッティングが使われ、高揚感を与える。「初めて恋に落ちた少年」のような心になっている男が描かれている。そのような歌詞がとても微笑ましい。このような曲が浜田省吾には多い。ベスト盤にも収録されているので、本人も気に入っている曲なのだろう。


「彼女はブルー」はアコギが前面に出たサウンドが爽やかな曲。歌詞は浜田の曲に多い「友達以上恋人未満」の男女を描いたもの。女は一緒に住んでいた彼氏の部屋を飛び出してきたという状態。男にとってはかなりのチャンスと言える状況だが、男は踏み込もうとはしない。なんてピュアな男だろうか。片想いの美しさ、切なさがよく伝わってくる。今作収録曲の中では一番好き。


「紫陽花のうた」は静かな中に優しさを感じさせるシンプルな曲。歌詞は不倫について歌っているのだろうか?「誰にも話せない恋だから 誰にもゆずれない恋だから」という歌詞がそれを想起させる。他の歌詞はとても優しいイメージのものなのだが、↑の歌詞のせいで影を落としている感じがする。梅雨時になると聴きたくなる曲。


「君去りし夏」は前の曲と同じく、しっとりと聴かせるタイプのシンプルなイメージの曲。青春時代の恋愛を振り返るような内容の歌詞が展開されている。聴いていてとても心地良い曲。「戻れない夏(Summer)」というラストの歌詞がとても切ない。


「恋は魔法さ」は先行シングル曲。阪神・淡路大震災の復興支援として発表された。印税収入を寄付したという。浜田の事務所「ロード&スカイ」所属のアーティストが多数参加した。ボーカルでは草野マサムネも参加している。神戸を舞台にしたポップなラブソング。女性ボーカルとの掛け合いがあり、曲を彩っている。


「君がいるところが My sweet home」はホーンセクションが効果的に使われたロックンロールナンバー。「愛する人が住む所が故郷」というメッセージが込められている。「恋は盲目じゃなくて 君に恋して始めて 自分を見つけられたよ 君への愛があればこそ」という歌詞が印象的。ストレートなラブソングである。


「あれから二人」は「さよならゲーム」のC/W曲。王道のバラード。ストリングスが効果的に使用されている。「16才の夏」を振り返り、「あれから二人」がどうなったかを語っていくという歌詞。ずっしりとしたサウンドがこの曲の切なさをさらに強める。


「Because I love you」は幸せな感じが溢れたラブソング。サウンドは歪んだギターが前面に出ている。夜をイメージさせる歌詞がある。今作の曲の歌詞はピュアなイメージのものが多いが、この曲の歌詞は少し違う。「今夜 君の手を取り連れ去る 悲しみの中から もっと傷つき二度と立ち直るチャンスを失う前に」という歌詞が印象的。


「青空のゆくえ」は実質的なタイトル曲と言える曲。ラストにふさわしい、重厚感溢れる曲。「もう 無邪気な恋に落ちるには 二人若くない」という年齢の二人が主人公として描かれている。最後にはずっと一緒にいることを誓う。
「もう 夢見てたような未来が来るとは思えない 悲しいけれど そっと時計の針を 二人出逢った夜に 止めてしまおう 永遠の一秒前に」という歌詞が好き。この曲がラストにあることで、アルバムに確かな統一感と風格を与えている。管理人が初めてこの曲を聴いたのは小学4年生の頃だが、その頃は歌詞の意味が全く分からなかった。今になって聴いてみると素晴らしい歌詞だと気付いた。年を取るたびにこの曲を好きになるのかもしれない。


ヒット作ということで、比較的中古屋で見かける。ラブソングで固めたアルバムなので、とても聴きやすい。ポップな曲が多めである。著名なヒット曲は収録されていないが、ファン人気、 浜田自身の評価共に高い曲が多く収録されており、ライトリスナーにも聴きやすいと思われる。浜田省吾の音楽に興味がある方には是非とも聴いてほしいアルバム。
「浜田省吾は重苦しいロックばかり」と思っている方にこそ聴いていただきたい。

★★★★★