Mr.Children
1992-05-10


【収録曲】
全曲作詞作曲 桜井和寿
全曲編曲 小林武史&Mr.Children
プロデュース 小林武史


1.ロード・アイ・ミス・ユー ★★★★☆
2.Mr.Shining Moon ★★★★☆
3.君がいた夏 ★★★★☆

4.風 ~The wind knows how I feel~ ★★★★☆
5.ためいきの日曜日 ★★★★☆
6.友達のままで ★★★☆☆

7.CHILDREN'S WORLD ★★★★★


1992年5月10日発売
トイズファクトリー
最高位25位 売上45.1万枚


Mr.Childrenの1stアルバム。実質的にはミニアルバムと言ってもいいアルバムだが、Mr.Childrenサイドは今作が1stアルバムという扱いをしている。先行シングルは無し。今作発売後に「君がいた夏」がシングルカットされ、1stシングルとなった。発売当初は100位圏外だったが、ブレイクしてから売上が伸び始めた。最高位である25位は1995年の1月に記録した。そのため、長期間ランキングに居座っていたことがよくわかる。


今作の収録曲は全曲インディーズ時代からライブで演奏されていた。小林武史のプロデュースによって、バンドサウンド以外の音が加えられたり、歌詞が変えられたりした。


現在のMr.Childrenの作品のジャケ写とはかなり異なった趣のあるジャケ写だが、これは当時流行していた渋谷系を意識したものだという。殆どそのような面は見られないが、桜井和寿は渋谷系音楽の代表と言えるフリッパーズ・ギターの影響を受けているという。デビュー当時憧れていた存在らしい。アートデザインは渋谷系アーティストの他にも多くのアーティストの作品を手掛けた信藤三雄。とても可愛らしいイメージのデザインである。


「EVERYTHING」というアルバムタイトルは「聴いた人にとって大切な一枚になってほしい」という桜井の願いが込められている。



「ロード・アイ・ミス・ユー」は今作のオープニング曲。メジャーデビュー後のMr.Childrenの歴史はこの曲から始まる。ハードな感じで始まるが、結局はポップに収まる。イントロがThe Policeの「Roxanne」そっくり。そっくりと言うよりそのままと言った方が良いかもしれない。歌詞は失恋モノ。タイトルの「ロード」は英語で書くと「lord」。貴族のような高い位の人に使う言葉だが、彼女のことをそのように表現しているのだろう。何とも情けない男だがそれが面白い。



「Mr.Shining Moon」はシティポップ的な雰囲気のある曲。シュガー・ベイブを彷彿とさせるサウンド。タイトル通り月について描かれた歌詞。恋人と過ごす夜も、一人きりの夜も月は見守っていてくれる。そんな「Mr.Shining Moon」に感謝する曲である。ホーンが使われているが、これは小林武史の仕事だろう。サウンドが管理人の好み。



「君がいた夏」は今作発売後にシングルカットされ、1stシングルとなった曲。このシングルの初回盤には小冊子が付属しているらしいが、これは貴重品。インディーズ時代からあった曲だが、その頃のタイトルは「夏が終わる」だったという。曲名は同じタイトルのアメリカ映画から取られている。とてもポップで爽やかな雰囲気の曲。夏の終わりの失恋という何ともありがちなテーマ。ピュアな印象の歌詞は高校生のカップルをイメージさせる。まさに青春と言った感じ。



「風 ~The wind knows how I feel~」は比較的シンプルなサウンドの曲。この曲もインディーズ時代からある曲だが、その頃は「風」というタイトルでサブタイトルは無かったという。夏場、外にいる時に吹いてくる涼しい風はとても心地良く思えるが、この曲はそのようなことが語られている。「風は知ってるんだ 本当の事」とのこと。「本当の事」は何か、それは語られていない。外に出て聴くとさらに良い曲に感じられると思う。



「ためいきの日曜日」は正統派なバラードと言える曲。今作では数少ない暗めの曲調。タイトル通りとても気だるい雰囲気の曲。日曜日の夕方をイメージしてしまう。主人公の男は彼女と別れたか、会えない状況にあるのだろう。「何もかもが全て僕を狂わせて行く」というラストのフレーズが印象的。ここまでどんよりとさせる曲はあまり無い。



「友達のままで」はとても軽快なテンポの曲。ハーモニカが使われており、その音がこの曲の軽快さを演出している。「友達のままじゃ いられないと きりだした僕を見て もうこのままじゃ いられないと 君は急に泣き出した」というサビの歌詞。ピュアにも程がある。現在に至るまで殆どライブで演奏されないのは桜井が恥ずかしがっているからなのではと勘ぐってしまう。



「CHILDREN'S WORLD」は今作のラストを飾る曲。インディーズ時代の代表曲だったとか。タイトル通り、子供の頃のことを思い出させるような懐かしい感じの曲になっている。歌詞の中の主人公は小学生ぐらいだろう。「何か大きい事を しでかしたくて ウズウズしている いつも 大人の声に 聞き耳立てて ビクビクしている」というサビの歌詞が好き。いつも友達と遊んでばかりだったその頃を思い出させる。今作の中では一番好き。


ヒット作ではないが中古屋ではよく見かける。デビューアルバムということもあってか、全編通してとてもピュアで無邪気な感じに溢れている。バンドサウンドが主体でとても聴きやすい。とにかく聴いていて微笑ましく、聴く人によっては気恥ずかしくなる程に爽やかなアルバム。これを聴くと、数年後に「深海」のような鬱屈した作品を作る人たちなのか?と疑いたくなる。


★★★★☆