久保田利伸
1989-10-08


【収録曲】
全曲作詞 川村真澄
4.9.作詞 久保田利伸 
全曲作曲 久保田利伸
5.10.作曲 久保田利伸、羽田一郎
1.編曲 杉山卓夫、久保田利伸、ANOTHER STAR
2.編曲 武部聡志
3.編曲 杉山卓夫&MOTHER EARTH&Rod Antoon
4.6.7.10.12.編曲 杉山卓夫
5.8.9.編曲 杉山卓夫&MOTHER EARTH
11.編曲 MOTHER EARTH
プロデュース 久保田利伸

1.TIMEシャワーに射たれて ★★★★★
2.流星のサドル ★★★★★

3.Oh,What A Night! ★★★★★
4.Missing ★★★★★

5.You were mine ★★★★★
6.一途な夜,無傷な朝  ★★★★☆
7.GODDESS~新しい女神~ ★★★☆☆

8.PSYCHIC BEAT ★★★★☆
9.永遠の翼 ★★★★★
10.Olympicは火の車 ★★★★☆

11.TA WA WA ヒットパレード ★★★★☆
12.Cry On Your Smile ★★★★★


1989年10月8日発売
2009年9月2日再発(Blu-Spec CD)
CBSソニー
SME Records(2009年盤)
最高位1位 売上124.7万枚
ランキング圏外 売上不明(2009年盤)


久保田利伸の1stベスト盤。久保田利伸にとって初のミリオンを達成した。アルバムでのミリオンはその後も達成できていない。初回盤はBOX仕様でブックレット付属。


選曲では、シングル曲を中心にしたもの。今作が初のアルバム収録となる楽曲も多くある。久保田のバックバンドのMOTHER EARTHとレコーディングした曲のみ収録されている。そのため、完全なシングルコレクションという訳ではない。当時の最新オリジナルアルバム「Such A Funky Thang!」の収録曲は今作では収録されていない。


全曲がリミックスされており、一部の作業はミネアポリスにある、プリンスの個人スタジオのペイスリーパークスタジオで行われた。


タイトルについて、「ベスト盤なのに何でBADなの?」という指摘がかなりあるようだ。そして、「そもそもBADの最上級ってWORSTじゃん」と突っ込む方も多い。「BADDEST」アメリカの俗語で「最高」「イケてる」と言った感じの意味がある。流石は久保田利伸、ファンキーなタイトルをつけてくる。


今作収録曲の感想については、今作が初のアルバム収録となる曲のみにさせていただく。


「TIMEシャワーに射たれて」は2ndシングル。12インチシングルで発売された。当時日本国内ではまだ珍しかったラップを取り入れた楽曲。初期のライブでは定番だったようだ。演奏時間は7分1秒と比較的長い。最初はゴスペル風で始まり、そこからファンクへと流れ込む。相当に変貌しているのだが、それをいとも簡単に歌いこなしてしまう久保田の歌唱力には脱帽である。サウンド面ではベースが前面に出ている。とても格好良い音。サビ前まではラップで進行する。爽快感に溢れる曲。 初期の久保田利伸の代表曲と言っても良いだろう。


「Oh,What A Night!」は初レコード化となった曲。元々は「キリンメッツ」のCMソングのために作られた曲。当初はレコード化の予定が無かったのだが、レコード化の要望が多かったため今作に収録されることとなった。タイトルについては、「ハッピーな夜が終わらないように」という願いを込めて、シャレでつけたものだという。爽やかな雰囲気溢れるファンク。この曲は今作にしか収録されていない。



「You were mine」は5thシングル。今作リリース当時の最新シングル。久保田自身初のCDでのシングルだった。初のシングルトップ3を獲得した。フジテレビ系ドラマ『君の瞳をタイホする!』の主題歌に起用された。久保田利伸らしい、疾走感とキャッチーさを併せ持ったメロディーが展開されている。歌詞はいかにも日本人が好きそうなバラードと言った感じのものだが、それを本格的なR&Bにしてしまうのだから凄い。今聴いても普通に良い曲だが、当時はかなり革新的な曲だと思われていたのかもしれない。



「GODDESS~新しい女神~」は3rdシングル。DAIHATSUの「シャレード」のCMソングに起用された。夏の雰囲気を感じさせるポップな曲。サウンドはベースやキーボードが前面に出た爽快感を感じさせるもの。夏のドライブソングにはうってつけの曲だろう。初期の久保田利伸によく見られたシティポップテイストの曲。良い曲なのだが、他の曲と比べると少しありふれた感じがする。



「TA WA WA ヒットパレード」は「Cry On Your Smile」のC/W曲。応援歌的な内容の曲。ピンチすら笑って切り抜けてしまうような、ファンキーなノリがある。曲は重厚感溢れるファンク。何と歌っているかよく分からない久保田のボーカルが印象的。サビではかなり力強く歌っている。久保田自身が敬愛するスティービー・ワンダーのようなイメージの歌い方である。この曲の楽しげな、無邪気なノリもスティービー・ワンダーを彷彿とさせる。



「Cry On Your Smile」は4thシングル。この曲で久保田自身初となるシングルトップ10入りを果たした。久保田利伸の出世作と言っても良いと思う。リリースから4年後の1991年には映画『咬みつきたい』の主題歌に起用された。曲はメロウな雰囲気のあるR&Bバラード。別れ際に彼女が見せた笑顔。それは円満な別れを物語っているのかもしれないが、男は返すことができなかった。そんな彼女の笑顔に泣きたくなってしまう。聴いていると胸が締め付けられるような感覚がある。「Missing」と同じくらいの名バラードだと思う。


大ヒット作なので中古屋ではよく見かける。初期の久保田利伸を手軽に聴くならこのベスト盤だろう。CD時代初期にミリオンを達成したのも頷ける程のベスト盤である。ヒット曲からファン人気の高い曲まで広く聴ける。その上、オリジナルアルバムのように、一つの作品としての統一感や完成度がある。今作リリース後も様々なベスト盤が出ているが今作は未だ価値を失っていない。「Oh,What A Night!」は未だに今作でしか聴けない。惜しむらくはリマスター盤が出ていないこと。2009年盤は限定発売のため入手が面倒である。音質さえ気にしなければ今でもおすすめできるベスト盤。


★★★★★